Kiwi Love


 クーラーをかけていても蒸し暑さは消えない。そのくせベッドの上で素っ裸のまま抱き合って吐息を漏らすような行為をすることで、相乗効果で体感温度は急激に上昇する。
 無駄に浅く繰り返してしまう呼吸でいつも以上に二酸化炭素が吐き出され、これこそが地球温暖化に加担しているのではないかと哀は思う。

「何考えてんの」

 囁いたコナンの唇が哀の耳たぶを甘く噛み、哀は薄く閉じていた瞳を開ける。目はとっくに暗闇に慣れ、窓から差し込む月明かりで眼鏡をかけていないコナンの表情も、少年らしいきめ細かい肌も、よく見える。

「…別に?」
「ずいぶん余裕だよな」

 しかめ面のままコナンはつぶやき、人差し指だけで哀の白い頬を滑らせ、そして首筋を辿る。もどかしいほどソフトな感触がむしろ触れられている事を哀に意識させる。コナンの指は見た目以上にごつごつしていて、男の手の感触がした。その刺激から逃れるように哀も負けじと手を伸ばし、自分の上にいるコナンの頬をそっと両手で包んだ。
 哀の意外な行動に、それまでとは裏腹にコナンは目を丸くする。この場に似合わないきょとんとしたその表情は昔を思い出させて、哀は口元を緩めた。
 広い肩幅も引き締まった腕も喉仏も、昔にはなかったものだ。
 ずいぶんと長い時間が経ったと思う。

「…おまえの手、冷たい」
「あなたが熱いのよ」

 そう言って哀は両手でコナンの顔を引き寄せ、少しだけ自分の顔を持ちあげてコナンの肩に唇を寄せた。ツンと汗の匂いが鼻腔をくすぐる。

「…痛ってェ」

 途端にコナンは低くうめく。唇を寄せたそこにはしっかりと歯形がついた。

「何すんだよ」
「ふふ」

 そういう性癖は持ち合わせていないつもりだが、目の前にあるたくましくなった肩に哀は欲情したのだ。こうして自分を求めてくれる時間がとても嬉しい。
 誤魔化すように微笑めば、不機嫌そうに仏頂面を見せたコナンが、先ほどとは打って変わって優しさとは程遠い手つきで哀に触れ、小さく声を漏らした哀の唇を強引に塞いだ。



中学生でも高校生でもどちらでもよいのですが、次の日体育があったりなんかして、更衣室で着替えている時に光彦あたりにその歯形を見つけられたりして、勘ぐられたりして。そんな妄想まで広がってしまいました。
タイトルはSPEEDの曲から頂きました。
(2014.11.12)